第十四話「超強重力世界」
祝福された花が
私と貴方を包みこむ
天上の光は
私と貴方を唯 無情にも貌捕っていた
嗚呼 違うの
触れられたいのは 貴方じゃないの。
嗚呼 何故なの
触れられたいのは 私の仇なの。
嗚呼 この軆が
教科書 道理なのかしら。
それなら憎いわ
流れる涙。
雨露が集い
天と地を上下に紡ぐ
溜った水は
滝に成って唯 切裂く様に流れ墜ちて行った
嗚呼 違うの
優しくされたいのは 貴方じゃないの。
嗚呼 何故なの
抱かれたいのは 私を殺めた魂なの。
嗚呼 この雫は
止む事を 識らないのかしら。
それなら頭付くわ
流れる涙。
もがけど 塊。質量。
羽などないわ
翔べずに張り付くの
なら
せめて私を
あの滝から 突き落として下さい。
撓み、血で錆付いた 錐で
私は貴方に 孔を穿つから
憎い貴方 嗚呼 どうか
私を抱いて下さい。
狂った様に、押さえ付けて、
暴力の言嵐(げんらん)で、
囁いて、
肋骨を折って、
髄まで啜って、
私を歪ませ 犯して下さい。
...流れる涙。
...それが贖罪ならば、
震える手で 其の温もりを、
甘んじて 抱き締めましょう。
啼け無しの覚悟。
流れる理。
酷似で暴嗤。
「 光ハ揺ギ
闇ト相成ッテ
殺シタイ
貴方ニ換ル
殺シタイ。
殺シタイ。
愛シテル?
冥黒
凍愴
処刑斧(ギロチン)
介錯未遂
嘲嗤
撥癲
白換茶
姦噤
...愛シテル? 」
【流星之軌跡:第十四話「超強重力世界」】
「それでは、私はこれで。……っ」
ふらり、の足下がぐらついた。
いつもの爽やかな倦怠感に塗れた朝に別れを告げようと襖を開けようとしたその時、
の視界が歪んだ。
あぁ、私はこのまま倒れるのだろうか。
同時に意識に急に靄がかかり、そんな中でぼんやりとはそれも安楽かとさえ思った。
倒れて痛みを少しでも感じられるのであれば、それが贖罪になると、
まだなけなしの理性は、「」は残っているだろうと。
しかし、流れ逝く時間は何よりも残酷に現実を突き付けてきた。
「──‥こう毎晩御悪戯を受けて仕事や看病に出掛けるのが祟ったな」
「‥‥‥」
掛かっていた筈の重力は憎むべき男、藍染惣右介によって遮られたのだ。
ふわりと、優しく、懐から見えない強剣を突きたてながら──の華奢な身体を抱き締め支えた。
「まだ残っているだろう・・・」
倒れることさえ赦されないのかと自嘲するを藍染はそのまま襖にゆっくりと押し当てて、嘲笑うかのように腰を愛撫でる。
すっかり慣れてしまった行為を思い出して声をもらしそうになるが、目の前の胸にぎゅっと身を押し当ててそれを殺した。
するとそれを優しく引き離し、顎を上げられて唇を貪られる。
次第に荒々しくなってゆくその行為に、このまままた犯されるのだろうかと危ぶんだ。
今日は速水の妻、速水涼子の命日──以前から速水とは、命日は共に墓参りに行こうと決めていたのだ。
そうして日の上った今日、それを実行する時がきたのだ。こんなことをしている場合ではない。
「──‥はッ・‥ぁむッ‥・ぅ、や‥・ぁ、んっ‥!」
しかし、少し身をずらせば藍染は尚もの唇を追って逃がさない。
加えて、逃げようとするを襖が撓む程押し当て、僅かに抵抗を示す手は自らの指を絡ませて、
彼女の逃場を無くした。
「ぅッ・・ん、ンンッ‥!!」
次第に酸素が足りなくなり、手の自由の利かないは絡まっていた藍染の舌を噛んでそれを訴えた──。
「・・・ッ」
「──ッハァ、ハァッ‥!はっ、はッ‥!」
己が唇から流れた藍染と自分の唾液を拭いながら、それでもは藍染を下から見上げ、そして───。
同じく唾液を片手で拭う藍染を映す目を閉じた。
機嫌を損ねたからには殺されると思ったのだ。
もしくは来る、数々の暴力に───衝撃に、身を堅くした。
しかし───。
「‥‥理性が無くなろうと、気丈は天の才か」
「‥・・・」
「・・・行きなさい。・・・唯、」
そのまま藍染はの背後の襖を開け放ち、彼女の耳元で囁いた。
「あの四番隊隊員には気をつけることだ」
一体、何を───?
自分が四番隊にいた事実は知れど、速水と自分の関係は知らない筈だ。
そう自分は「潜入」していると常に伝え続けてきたのだから。
なのに、何故───。
「命日なのだろう?‥‥行ってきなさい」
「───────」
何よりも光に優しく照らされた藍染が酷く恐ろしく思えて、
は何も言えずにバッと振り替えると、逃げる様にして四番隊に向かった。
※※※※※※
風が吹く。
未だ衰えることを知らない熱気も、風に吹かれていくらばかりか早い秋を漂わせていた。
その風に役目を果たした草は根を任せ、天空へと巻き上げられて逝く。
何の花かはわからないが、鮮やかな色をした花弁がそれを祝福するかのように舞っていた。
そんな美し過ぎて思わずむしろ畏敬を抱いてしまうような小高い丘に、涼子の墓はあった。
速水は持ってきていた花束を涼子の墓前に置くと、静かに彼女に話しかけた。
「……久しぶり、涼子。悪いな、最近ちょっと怪我しちまってよ。なかなか見舞いに来れなかった」
はそれを、静かに後ろで見守っていた。
「今日は、お前の命日だな。・・命日か。……お前が四日前から遠征に張り切ってたから、
止められなかったよ。そしたら帰ってきた時には───これだ。
……悔やんでも悔やみきれなかった」
「・・・・」
「でも、ようやく今日、きちんとお前に花を供えられた。今までは──後悔と怒りの方が大きくて、とても花なんて手向けられる
様な状態じゃなかったからな……」
速水はそう言いながら、次から次へと長年溜めていただろう涼子への気持ちを、ぽつりぽつりと告白しはじめた。
あの時は君はこうして、それを見た自分はああ思って、二人で話し合って結局良く馬鹿なことをしたものだと。
はそんな速水を見ながら、ぼんやりと浮竹のことを思い返していた。
───もし。
もし・・・・。
もし、自分が死んだ時は、彼は悲しんでくれるだろうか。
速水のように泣いて、叫んで、悔恨の音を上げてくれるだろうか。
こうして、墓を立てて──我儘は言わない。
命日だけは、そこで自分を思い出してくれるだろうか。
どんな辛い思いをしたなど知らないだろうが、風は、空は、時は──
彼にそれを知らせてくれるだろうか。
自分が死んだ時───せめて、最後の我儘として、涙を流してくれるだろうか───・・・。
思いをくみ取るかのように、風は流れ、花が天へと帰る。
ひらり、ひらりと、口に出来ない気持ちを彼の元に運ぶように。
───と、そんな時ふと瞳を臥せるに、速水は向き直った。
「彼女は……。五番隊隊士で、瀕死の俺をいたく叮嚀に看病してくれた。此処に早めに来れたのも彼女の御陰だな」
それに気付き、いない筈の彼女の墓にぺこりとお辞儀をした。
すると彼女が微笑んだ気がして、の心は少し晴れる。
微笑するに速水は頷くと、また墓に向き直り、何事かを囁き───それからゆっくりと、に手を差延べた。
「帰ろう。もうそろそろ定時だろ?」
「────・・はいっ」
卯ノ花隊長が怒られたらまた寿命を縮めてしまう──と、そんな冗談を仄めかしながら、は速水の手をそっと取った。
唯、優しい夕暮れの光が、去り行く二人の影を照らしていた。
すっかり月が昇り切ってしまった頃、二人はようやく四番隊隊舎に戻って来れた。
行く時もあの林を越えるのになかなか時間が掛かったが、帰りは闇が相俟って尚更時間が掛かってしまった。
──もう早めに仕事を切り上げ、就寝してしまっている隊士もいるだろう。
そんな彼らを気遣いながら二人は狭い廊下を歩いた。
「────・・・?」
しかし、は目の前を無言で歩く速水が、いつもの看護室に向かう廊下とは違う道を行っていることに気がついて、
静かに速水の裾を引いた。
「あ、あの。何処へ行くんですか・・?そろそろ看護室に行かないと卯ノ花隊長が・・・」
「・・・しっ」
「っ」
「・・いいから・・少し黙ってついて来てくれ」
その言葉を聞いて、はようやく彼の表情がいくらばかりか堅く強張っていたものだったことに気がついて、
いつも剽軽な彼の態度故に今度は何か特別な意志を受け取り、今日ばかりは敢えて注意はせずに唯黙って速水について行った。
そして風が一層強まった時、ついに速水の足が部屋の前で止まった。
───ここは・・・。
そうだ、全くいつ見てもここは豊かな木々に囲まれて変わらない───速水の自室ではないか。
そのまま速水は障子をガラリと開け放つと、部屋の中へ足を踏み入れた。
訳の解らないも遅れるようにして彼に従う。
───パタン。
何かを噛み締めるかのように、速水はの背後の障子をゆっくりと閉じた。
戸を閉めるくらい、せめて部屋の灯くらいつけてからにすれば良いのにとは思うが、真剣な顔つきの彼を前に
それは無粋だと判断する。
今日は涼子の命日。
何か特別な気持ちがあっても仕方ないだろう、と。
「───今日」
闇の中、月明りしか部屋の灯はない。
その中で、と向き合うようにして速水はつと話し始めた。
しかし、顔はやや俯き気味で闇に隠されて表情は伺えない。
「今日───夢枕に、涼子が・・立ったんだ」
「・・・・」
また奥さんとの優しい思い出が紡がれるのか、とは柔らかな瞳になる。
以前から、速水が妻との思い出話をするのは好きだった。
何処となく彼に───浮竹に似ている速水が、愛しい人との優しい時間を語るのは───癒し、だった。
「そこで───・・涼子は笑ってた」
「・・・・・」
「怒っているかと思っていたんだ。如何にも綺麗な正義と平和を掲げておいて、また新たな平安を求めて
しまう自分を、誰よりも愛してくれた涼子が───・・・」
口許に忘れかけていた、彼女本来の笑みが自然と浮かぶ。
慈愛、そしてやすらぎ。
そのような、穏やかな笑みだった。
はそれを浮かべながら、俯く速水を唯じっと見つめる。
「でも、涼子は笑ってた。笑って───自責の念に駆られていた俺に言ったんだ」
「・・・」
「『新しい、大切な人を愛してあげて頂戴。もう辛そうな雄矢を見ていられない。お願い、悩まないで』────」
そうか、彼に新しい希望が出来たのか。
同じ四番隊のだれかだろうか。
そういえば、自分以外に時折彼の看病をしていた年下の女性がいたな、とは思い当たる。
ああ―――彼女のような慎ましい性格なら、心に深い傷を負った速水を救ってくれるだろう。
良かったですね───心の底から彼を祝い、は思わずくすり、と微笑んだ。
「───おめでとうございます」
何よりも、生きる事に絶望していたにとって、死に臨む死神を助けられたのは希望になった。
速水が元気を取り戻してゆく度、どんなに酷い仕打ちを受けようと自分は生きてゆけると思った。
献身的な看護に、いつしか自らも癒されていたのだ。
そして、絶望の淵から更生した彼のこの今の告白は何よりも、の希望となった。
過ちや課された罰、それを乗り越え、明日へと羽ばたく事が。
涙が溢れる位、うれしかった。
「────まだ気付いてくれないのか?」
「・・・え・・?」
────ダンッ
しかし、常に魂とは無情なもので───肩を強く掴まれ、壁に追いやられたは、何がなんだか解らない。
心を読もうと思えど、自らの心拍と脳の、白い雑念が邪魔になって、聞こえない。
ただ、聞こえるのは─────
春に氾濫する、押し潰す川の流れのような─────感情の嵐。
そして、
『あの四番隊隊員には気をつけることだ』
憎き藍染の声。
「───」
「ゆ、ゆう──・・んッ!」
荒々しく名前を呼ばれて、何かが、柔らかな何かが───己の唇に押し当てられた。
頭が、心が、混乱して何が起こっているのか、飲み込めない。
に解るのは戸惑う心と、自らの胸に存在を告げる速い心拍数。
掴まれて圧迫される、力、そして、這い上がって来る『危機』。
「・・・、・・──。好きだ。愛してる・・・」
「─────」
一秒でも惜しむかのように、わずかな隙間から紡がれる言葉。
それは切な気を帯びていて、彼の愛を物語る。
しかし、にとってそれは────狂気にしか思えなかった。
焦りに目を見開き硬直するの後頭部を支え、様々な角度から彼女に愛を伝える。
は酸欠に朦朧とするなか、その愛を唯ひたすらに突き返そうともがいていた。
「はっ・・・、・・・っ」
「・・・ん、はぁ、・・・ふっ・・」
そしての瞳を真剣に見つめ───
「俺は、何よりも綺麗なを───愛してる。だから、お前が誰の人だろうが俺は知らない。我儘だってわかってる。
だが・・・それでも良いっ。そいつからお前を奪ってでも───生涯、護る・・・!」
そう、真撃に口にして。
「お前の大切な人に、お前が捜していた人になりたいんだ────」
「雄矢さっ・・・あっ」
そのまま、速水は勢いに任せてを座敷に押し倒した。
そして、倒れて月に照らされたを上から見つめて、綺麗だとうわ言のように呟いて
──の両膝を割って伸し掛かる。
「・・・今日はもう、帰さない・・・」
第三者が見れば、何よりも調和のとれた、光の光景。
共に絶望から立ち上がった存在が愛を呈す、祝福されるべき光景。
だが────の視界は違った。
見下(お)ろす優しい瞳は、見下(くだ)す瞳。
迸る愛情は、狂気に満ちた醜い欲望。
触れる指は、肢体を、心を舐めるように。
「・・・ッ・・」
「ゃッ・・!雄矢さんっ──た、・・長ォ・・・!やめて下さいッッ!やぁ───んッ・・ア、ぁあっ」
速水は、浮竹に。
浮竹は、を見下(くだ)す。
利用しようと、甘言を囁き、
雪ぐ愛情は、洗脳の調べ。
触れる指は、牢獄を指し示すかのように。
「い───、や、だ」
瞳光のない恐ろしい浮竹の口許が歪み、闇に包まれる。
残酷な笑。
見た事が────見た事が、見た事が、ある。
「・・・っ」
────── ド ク ン 。
浮竹の白髪が茶に染まり、瞳は鋭く残忍に臥せる。
愛は恐怖に。
恐怖は笑みに。
笑みは射殺す光に。
射殺す光は暗黒に。
暗黒は己が血に。
己が血は浮竹に。
浮竹は、藍染に────。
────グサリ。
藍染の指は、の心臓目掛けて突き刺さった。
「─────嫌ぁあアァあッッ!!!!」
「ッ!?──くっ!!」
限界まで目を見開き、息を絶え絶えにして、は藍染の幻影を払い除けて逃れた。
後ろから知らない男の叫ぶ声が聞こえるが、聞こえないと耳を両手で塞いだ。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ!!」
そして着物がはだけた儘、畳を這いつく張り、漸く襖迄辿り着くとガタガタと震える手で勢い良く開け放ち
────一目散に逃げ出した。
誰カ、助ケテ。
走る。
走る。
無我夢中で、何処に向かっているかも分からずに。
がむしゃらに、唯がむしゃらに、恐怖に震えるは走った。
寒気に歯がガタガタ云う。
それは頭に響き。
蘇った、記憶の声。
人ならぬ人喰い人が、爪などとうに捲れた指で追いかけて来る声。
最早意味の分からない叫び声。
唯悦び、興奮に満ちた叫び声。
剥いて濁った白目は、を
殺せと、
犯せと、
輪姦して、
喰らえと、
獣のように四つ足で追い掛け回してくる。
逃げては、先回りされ、
また逃げては走って、息を殺し。
苦しくても、そうしなければ見つかってしまう。
見つかって、殺されてしまう。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ」
だから、
逃げろ。
恐怖に駆られて立ち止まっては駄目。
最も醜い獣に、殺されるわ─────。
「死ッ───死ッ、死ぬの・・・ハァッ───恐いッ、恐いよぉ・・・!!
イッ、生き、たい───死ッ、死ッ────ぅうゥぁあ゛ァああ゛ァあ゛ぁ゛ア゛あ゛ぁ゛ーーーーーッッ!!!」
ふわり。
目の前が
柔らかい闇に包まれる。
は、背を撫でられ、
次第に
それが白い色をしていることに
気がついた。
染み付いた、
男の香りが
温もりが
酷く心を、癒す。
はすぐに
誰かと分かり
安堵と恐怖に声を上げて
涙を流した。
掌に、衣に、胸に、頬をすり寄せて。
腕できつく、きつく
抱き締め。
唯─────
『抱いて下さい』
そう、呻いた。
※※※※※※
「んっ・・んっ、ん、く・・・ハァッ・・」
唇を白濁した液が伝う。
漸くのことではそれを飲み込み、溢れたそれを拭い取ると、粘着したそれが手と唇を伝わった。
漸く頭を肉棒に押しつけていた手を放されて、はそのまま、目の前の死神にしなだれる。
憎い彼は、満足げに微笑み、幾許か荒い息を吐きながら彼女を懐に招き入れた。
そして、肩を上下させ息を整える裸の彼女を抱き締めながら、背を優しく撫でて囁くのだった。
「・・・新たな任務を課そう」
「・・・・はい」
「早期に謄本が必要になった。────速水雄矢を殺せ」
「・・・・・」
何よりも優しい声で、そうに囁いた。
髪を撫で、相変わらず片方の手では背を撫でて。
は無言だった。
ただ、襖から瞳を逸らして床を見つめて固まった。
それが、今のの精一杯の、なけなしの───抵抗だったのだ。
「速水を殺し、至急謄本を手に入れろ」
の頬に指を当てて上げさせれば、髪を掻きあげられ
「良い子だ─────」
唇を、重ねた。
だが、も貪るように、角度を変えて攻め立ててくる男の舌に、自らの舌を絡ませて応えた。
ただ、眉根を寄せて、切なく吐息を洩らして。
────ピチャ、クチュ・・・
透明な液が、双方の唇から溢れ出た。
それは顎を、太股を伝い、ゆっくりと流れ落ちて首から乳房に、そして畳に泉を創る。
そうすることでしか、涙を流す術が、なかった。
────重力は、深い。
深い、深い、深い─────。
光をも、逃がすことを赦さない。
究極的な次元。
その先に繋がるのは、一体どのような世界であろう。
それでもそこが、涅槃だと言うならば。
この罪窈い手を伸す事が、救済になる、というのなら。
嗚呼─────なんて、重力は、深く、そして、酷く無邪気なのだろう。
続
───────
速水君、恋のダウンロード接続失敗!(ええぇ)
えー、こんな感じで速水編終盤。どうなることやら(他人事かYO)
えー、憎いはずなんですよね。は、ゼン様が。
なのにそういう御願いしてしまったのは何故か?・・・難しいところです。
しかし、それは今までからのお話から汲み取っていただければ、と思います。
それでは、次回からまた転機が訪れます。
四番隊潜入・速水編最終回――お楽しみいただけると嬉しいです。