第四十二話「藍実食みて亞酔木煉せば―nieve virgen―」
それはなんということもない ありきたりな話。
しかし、その最果てには何かが隠されている。
『存在しないものが存在したいと願う』――――――愚かな妄想だ。
『そう思いたいと願う』――――――これまた愚かな幻惑だ。
――――――真実には まだ、遠い。
【流星之軌跡:第四十二話「藍実(らんじつ)食みて亞酔木煉(ころ)せば―nieve virgen―」】
――――――何故だ。
藍染はの話を聞きながら、常に心の中でそう呟いていた。
自分は今まで数え切れないくらいの文献を読み、理解し、そしてこの記憶に刻み付けてきた。そしてそれを飲みこんだ証として想起した
理論を研究というかたちで試してきた。その大半は成功で、この世の仕組みなどあまりにも簡単に思えて、陳腐なものと、堕落に絶望する
日々を送ってきた。まあ、途中に幾度かの困難はでてこなかったのかといえば其れは嘘になるが、しかしそれを克服することは決して苦
ではなかった。
それなのに――――――藍染の心の瞳が苦渋に歪む。
この女に対しては数々の非道な言葉を、行動を示してきたのに何故、寸分も怖がる様子をみせない。
それも虚勢であればすぐにでも見破れるのに、一切そういった類をみせない。
喉を軽く裂き、痛みに本能は生命の危機と、死への恐怖を排出したはずだ。だが痛みを学習してもこの女は、目の前に刀を突きつけられて
いるのに対してなんの抵抗やおびえを見せることなく、ただ―――純粋でまるで宝玉のような茶の瞳でもって此方を見つめてくる。
過去を語る彼女の言葉はまるで浮世離れしていて、嘘のような気すら覚えてしまう。まるで昔々、という女がおりましたといったような感じだ。
だがその瞳の動きから、偽りは伺えない。全てが真実だ。
しかしでは何故―――『このような』過去をこうも淡々と語れるのだろう。諦めて、自嘲するような皮肉の微笑を浮かべているのは確かだ。
だが、その事実に対して決して彼女は絶望しているわけではないのだ。
『事実』は確かに過去にあって、しかしそれは元来の意味の『厳然たる事実』であって以上でも以下でもない・・・そう思っているとでもいうように。
本来、まともな神経であれば自我故に多少なりとも不遇な産まれに苛立ちや嘆きや悲しみを背負うはずだ。それなのに彼女は連綿と物語を
綴るばかりで、・・・まるで産まれたての赤子が言語を喋っているかのような不思議な感覚に陥る。
それだけではない。藍染の心を歪ませる要因はまだあった。
それは―――紛れも無い自身の心だった。
という名の王族。生まれながらにして、生きとし生けるものの最上級の階級を与えられ、何の不自由もなく生きる『種族』。下界に住まう者
たちによって世界は存続しているというのにもかかわらず、身を切るような苦行の上に平然として胡坐をかいて、自身の幸福が何で生じている
のかを知らない『人種』。いや、知ろうともしない『一族』。
自分たちは何の力も持っていないくせして、いや、持っているのだとすればそれは血故で、努力の上で手に入れたそれではない・・・それを
自分の力と思い込んでいるであろう最上級にして、最下級の魂魄。
このとかいう女は、そういった所の生まれだ。
しかしこの女は霊圧を軽々しく空気のように纏い、何故かは分からないが霊気を震撼させる異常な力を持ち合わせている。それは血故の能力
かとは思えど、彼女から聞き出そうとしても何の話か、要領を得ないといった感じで―――心をざわつかせる。
無意識下での、理解ならない尋常ならざる力。常に神経を垣間見られて、優しく撫でられているかのような視線、何ものにも染まらず、本能は
自分の予想した五感を排さず、あいも変わらず己の心を見透かすかのような瞳・・・。
それら全てが巨大な鎌となって、今藍染の首にかかっている。身は天井から地面までの大鎌で、しかしその色は抜けるような透明だ。それなのに
容が手に取るように分かるほどの、存在感の大きさ。その鎌の刃は限りなく零に近い薄さで藍染を照らし、笑うことなく下から見つめてくる。まるで
その様子はそのものの視線のような気がして、なんとも薄気味悪い。
そう、たとえるならばという名の女は『無知』や『純粋』そのものだ。故に彼女から生じたすべてのモノはその色を包括して『知識』を打ち剥
がす。
(白亞すら浄化する無垢は、漆黒纏う全世界のあらゆる記憶・知識すら漂白する。 しかしそれも無意識的に、完全に、完膚なきまで。
彼女には―――には『無いものすら無いし、其の上、在るものすら在るのだ』。)
―――『完全催眠』は解けたのではない。
―――『完全催眠』・・・『具象のすり替え』など、にとっては無いものすら無い故に、すぐに零に戻ってしまうのだ。
藍染は己が導き出した仮定と結論をいち早く悟り、己が突きつけている刀などこの『零の大鎌』の前にはちっぽけに思えてきて、思わず柄を構え
なおしてしまう。
そして最後には、必ず唇を噛んでこう、思う。
(何故だ。 何故この女がこのような『力』を持ち合わせているのだ。 前例がない。 この女は王族―――本当の意味での『力』など何も持たぬ
脆弱にして愚鈍と怠惰を貪るだけの下等種族。)
罵声を心臓で吐露すれば、醜い己の心が頭を擡げる。
そこに、藍染の怒りの原因はあった。
そしてついに気がつく――――――
に出会った時よりも、むしろそれ以降に憎しみは増していったという事実に。
増した瞬間はいつだったか?自問すればそれは――――――この女の『零の大鎌』が首を撫でた時だったという事実に。
全てを語り終えたを目の前にして、藍染の回想と演繹は終わる。諦めたような虚空の色を宿しながら、それでも希望は捨てない。愚かなまでの
生い立ちと使命の洗脳に、果たして心は何を導くのだろう。
「これであいこだな、惣右介」
鎌に反射した虹色の色彩は、藍染の無表情を暴いた。
***
私には、両親の記憶がない。
当たり前だ。両親は私が生まれてからすぐに、この世界のあの塔に私を幽閉したのだから。
会ったことは未だないが、今から話すことは本家からの手紙に書いてあった事実だ。・・・あらゆる意味で『迷惑』な私に対して、恐らく
本家の人間はこの内容を知らせることによって、私自身が自害するか、それとも下界に亡命することを望んだのであろうが・・・私は
拒否した。拒否して、父上と母上の役に立つ道を選んだのだ。
・・・これ以上話すと話がずれてしまいそうだな。まあ、とにかく。これから話す内容は全て、真実だ。
父上は下位の王族で、最下位の分家の母上と一夜を共にした。当時、父には正妻がいたが、母上は絶世の美女と謳われるほどの
美女で知識、教養も豊富―――とにかく才色兼備の女で、魅力的に映ったのだろう。己の感情の箍が外れ、また母上の境遇を
哀れんだ父上は母上に絆されてしまったそうだ。・・・後日、さまざまな事情を鑑みた父上は母上を捨てようとしたが、しかしもうその時
既に母上は身ごもっていたのだ。
これで母上が醜女であったら恐らく捨てたのだろうが、あらゆる意味で『魅力的』な女を父上は捨てるに捨てられず、それならば仕方ない
と不貞子を授かった。・・・今思えば、その瞬間にその子は、父上にとって『道具』になったような気もするが・・・想像は出来ても、確信は
もてないな。
・・・ああ、すまない、話が途切れてしまったな。
―――その子は母の血を多く引いたのだろう。その子の母の美しさを何十倍にも凝縮したような、美麗さだった。そこに父の血を引き、
高貴さをも併せ持った『女子』を授かった。
だが、その『女子』は、母上にとっては生れ落ちた瞬間に『道具』へと成り果てて、やがて父上にとっても同じ存在へと成り代わった。
母上は、父上に対する『弱み』として、脅しの証拠の『道具』として。父上は―――この不貞なる子を、自分たちの切り札にしようと考えた。
どういうことか、といった表情だな。
・・・話は父上の家庭に移り変わる。
父上には兄がいてな。その兄は実力者で、かなりの高官だったが、子に恵まれなかった。
不貞子をもうけた時、お家断絶もあるかもしれないという予感が頭をかすめた父上は考え付いたのだ。そこで逆に、自分の不貞子を
兄に嫁がせて位をあげよう、と。
実際産まれてみればその子の美しさに、我ながら惚れ惚れするくらいだったという・・・この計画はすぐさま実行に移された。
母上はその時既に父上の家に側室として本登録されていたこともあり、何の反対もしなかったという。
そして生まれてすぐさま、その子が誰にも心を奪われぬよう、宿命をまっとうできるようにとすぐに下界の塔に閉じ込めた。
もう分かっているだろう・・・? ――――――それが私だ。
全ては『宿命を、使命をまっとうできるよう』。
脚が弱いのは、塔をよじ登って唯一の天窓から逃げ出さないよう。
あの塔や私が王族なのに何の武器も持たぬのは、あきるほどの永遠や使命の本質に気がついて自害するのを防ぐため。
・・・しかし何の拘束具もないのは、自信があるからだろう・・・私が愛故に、自らの命を自ら絶つということはない、という。
本の読解力があるのは、ある程度の教養を持っていないと高官の兄にふさわしくないと見初められないとの恐れから父上と
母上が多量に送ってくる書簡が故。それくらいしか娯楽が無いから、自然と文を読む力もついていたのだろう。
毎日届く愛情のこもった手紙は、私をこの世界につなぎとめ、私の生存を確認するための手段にすぎぬ。
いつ来るかも分からぬ婚儀の令が来るまで、私は連綿と生き続けなければならない。
・・・さ、こんな私が王鍵のありかを知っていると思うか?
***
「・・・滑稽・・・・というか、愚かだな。 ・・・そのように裏切られまでして、何故生きながらえている」
藍染は己が内に渦巻く感情を通り越して、至極自然にそう口にした。
この女は本当に無垢純真なのだ。故に―――その『使命』とやらになんの感慨も示さない。
「『裏切られる』とは正しい言葉ではないな、惣右介。 『裏切られる』という言葉は、信じていた期間あってこそ生じるものだ。
私には裏切られる暇さえ与えられなかった―――そうだな、仮にあるとすれば最初から・・・といったところかな」
こうして儚げな微笑を浮かべて、何か遠いどこかの御伽噺でも語っているかのような自然さを身にまとう。その瞳には命を刈り
取れる鏡花水月など目に入っていない。入るはずがない。
この女―――の瞳に映っているのはただ、・・・・・・。
「・・・御上からのこの手紙が送られてくるまで、私は疑問を感じながらも父上と母上からの愛のこもった文面に確かに、
癒されて、生かされていたのだ。
嬉しいことがあった朝も、間延びした幸せに浸った昼も、悪夢を見て飛び起きて、誰もいない孤独に寂しいと思った夜も、
全て全て―――父上と母上の優しい愛情の染み込んだ手紙があったから生きてこれた。
事実を知って少なからず絶望を味わったけれど、それでもなお、その愛しい文字が綴られた手紙を信じてみたいと・・・。
たとえ道具としての運命しか待ち受けていようが、いまいが、仮初のそれでも『愛してくれた』親の役に立ちたい・・・・・・
その想いは愚かか?」
汚い、体裁を繕うことだけに利用される運命を受け入れようとする『愛』。顔を見たことも無い、酷な運命を、何食わぬ顔で背負わ
そうとしている両親への、愚鈍なまでの純粋なる『愛』―――・・・・・・。
今の彼女の境遇を喩うなれば―――実験用にと生み出された鼠が、実験体として産まれた運命を享受し、残酷な実験を自ら進
んで―――それも愛情をもって―――課されようと自己を磨いているかのようだ。
散々な運命を受諾しようとする自分は愚かか、と問うの顔は、ぞっとするくらいに穏やかだ。
その表情に―――藍染の心は再び、疼く。
憎しみで溢れそうになっていた己の心と、憎しみなど感じたことも無いの心。
正反対の心の色に、藍染は幾久しく畏怖を覚えた。今までであれば、恐らく藍染の心はこの感情に再度、憎悪を募らせただけで
あろう。彼女の掲げるだけで、決して自分を襲うことのない大鎌の温さに。
だがしかし―――それならば、その鎌を握るか細い手の力の軽さの正体を知りたいと―――思った。
予想するに、恐らくそれは両親への愛情だけではない。それを強固に塗り固める何かが―――あるはずだと思ったのだ。確信は
もてないが、それがこんなにも大きな刃を作り出す根源になっているのだろう。
だが、すぐには引くに引けない。己のなかにむくむくと起き上がってきた感情を叱咤するかのように鍔を鳴らせば、の意識は
ようやく再び目の前にある刃に向けられた。
「私を手にかけるか。 ・・・それもいいかもしれない」
たとえ偶然でも、偽りのお前でも―――塔を壊したその先で、さまざまな美しい世界を見せてくれた藍染になら殺されてもいいと
きっぱり彼女は言い切った。
そして続けざまに彼女は再び口を開いた。しかしそれは命乞いの言葉などではなかった。
「ただ、それは惣右介の役に立つのか?」
「―――っ!」
私の命を奪うことが少しでも惣右介の役に立つのであれば喜んで捧げよう・・・そうは真顔で眉根を顰め、心底心配するかの
ように尋ねる。その配慮の先に、自分の命がかかっているというのにもかかわらず―――。
だがその無垢なる言葉は刹那、藍染の胸に明らかな怒りを這い上がらせ、彼を戦慄させた。
・・・『同じ』・・・・・・だと? ――――――ふざけるな、誰が己の失態を隠蔽し、あまつさえ道具として正式に利用しようとする醜悪な
存在と同じだ。
瞳が否がおうもなく憤怒に歪む。
は両親と同じく藍染に対して自らを『道具』として捧げようとした―――それは今の藍染にとって何よりも耐え難い屈辱に他なら
なかった。確かに彼女を利用せんとする藍染の行動は両親のそれと類似しているかもしれない。だが―――藍染は自らの弱さから
生じた失態を隠し、それを正当化するために、を『道具』として利用しようとしているのではない。
だが、彼女の口から漏らされた心配事は、一番恐れている事実を藍染に突きつけた。彼女にとってみれば不正を正当化するため
であろうがなかろうが、『道具』として扱われるという点で全く、両親と藍染の立場は一緒だった。そこには純粋に何の差異もない。
故にそれは藍染にとって屈辱以外の何ものでもなかった。一番忌み嫌っている連中と、同じ立場にいるとでも・・・・・・この女は言い
たいのか。
心臓から始まり、全身に激昂の熱濁流が駆け巡った。藍染が動けずにそのままの様子を伺っていると、彼の内心など念頭に
無いであろう彼女は、ふと、にっこりと笑った。
「・・・まあ、これであいこだな、惣右介」
その笑顔は最早、恐怖に理性が崩壊してしまっているものだと藍染は思わない。それはまるで、子供が友と一緒に作った秘密基地
のありかを示した秘密の地図を作成し、配っている時のような悪戯な、しかし満足げで輝いたものだ。
「お主は先ほど大切なことを私に教えてくれただろう。 ・・・確か禁忌の研究がなんだとか、王族がどうだとか。
・・・私は、今の話は恥ずかしい話だから、出来る限り教えたくなかったのだが―――・・・・・・。
惣右介が大切な話をしてくれたから、私も大切な話をした。
だから、これで、おあいこ」
再び己の中で出た結論が怒りで火照った脳裏を掠める―――。
(白亞すら浄化する無垢は、漆黒纏う全世界のあらゆる記憶・知識すら漂白する。 しかしそれも無意識的に、完全に、完膚なきまで。
彼女には―――には『無いものすら無いし、其の上、在るものすら在るのだ』。)
月光を潤ませたの視線と、藍染の無感情を装った視線が一瞬たりとも反らされることなく、交わった。
「・・・何が「相子」だ。 王鍵に対して何の利用価値も無いと暴露して・・・殺される確率を自ら高めるなど正気の沙汰とは
思えないな」
カチン、と冷たい音を立てながら鏡花水月は腰の鞘へと戻った。はその様子を見届けると、何事も無かったかのように
机上から身を起こし、そしてすぐさま近くに倒れている男のもとへと駆け寄ってゆく。
真っ赤としか表現できない鮮やかな色で床の白を染め替えている場所に何のためらいも無く入っていって、固まる。先ほど
まで死ぬ間際の幻想に囚われ、あがいていた男の目は白目を剥いたまま、口はだらしなく開いたまま、身体に開いた場所
からはいくらか内容物をぶちまけて、ただそこに『転がって』いた。壮絶な最期だっただろうに、今はただ鈴虫の音色に彩ら
れて静かに眠っている。
物悲しい音はまるで鎮魂歌のようだ。は複雑な感情のなかで目をそっと伏せてやった。
・・・ただじっとして動かない背中越しから、哀愁が漂ってくるようだ。藍染はその様子を目に写しながら、冷酷に、ただ冷静に
二つの思考をしていた。
一つ目は、の利用方法。
王鍵の所在や王族居住地区への行き方については無知だとはいえ―――人質としての利用価値はあるだろう。他人の本当
の気持ちなど分かるわけないので本当に彼女の両親が彼女のことを愛していないとも限らないし、まあ最悪本当に愛してい
なかったとしても、道具としての愛情はあるようだから、彼女を保護し、恩を売る道をとって王族へ取り入る機会はあるだろう。
いずれにせよ、好機は王族がを見つけ、迎えに来た時―――その時に、穏便にやり過ごして何らかの情報を得よう。
そう、なにも無理して彼女から情報を聞き出さずとも―――彼女を餌にして、大物を釣り上げたほうがよっぽどいいかもしれない。
いくらが王家にとって迷惑な存在であるとはいえ、両親は『道具』と完全に成り果てた彼女を見捨てることはないだろうから。
それに―――あのような卑劣で、矮小な王族一味とは絶対的に違う存在であることを証明しなければ、から浴びせられた
雪辱は晴らせないだろう。
、私はお前の両親とは全く違った方法でお前を『道具』として散々に扱ってやる――――――。
そして二つ目は―――。
ふわりと血の香りが目の前をよぎる。酸化しつつある男の血液を染み込ませた衣服をかまうことなく翻しながら、は寝台の
上に空いている窓へと走ってゆく。
「わあ、すごい・・・っ」
とっくの昔から咲いていた、庭一面を埋め尽くすほどの白い花を見て、この場にそぐわぬ恍惚とした微笑を浮かべる女―――
王家の血を継ぐ不貞子―――。
催眠を打ち破ったその先にある真実の園の姿を眺める彼女に映る世界は、一体どのような世界なのだろう。
「綺麗」
しばらくの後、興奮気味に振り返って「ありがとう」と、雪のような微笑を浮かべる。
藍染の憎しみに塗りこめられた心臓はこの日、確かに――――――によって浄化され、新たに怒りは、産み出された。
続
******************
*第四十二話「藍実(らんじつ)食みて亞酔木煉(ころ)せば―nieve virgen―」でした。サブタイの意味は「処女雪」です。
また、ちょっと言葉遊びで、北欧神話のニーベルンゲンとかけてみました。綴りもぜんぜん違いますし、ニーベルンゲンの
指輪と内容はぜんぜんかぶっていませんがね。(笑) は夫のために復讐とかしようとか、そんなんありませんものね。笑
ただ、ニーベルンゲンの街道とか景色とか・・・初雪草園の景色と近いものがあるかなぁと思って遊んでみたのです。
遊びは遊びなので、あまり意味自体はないのですがね。笑
*完全催眠を消去したでしたが―――それは果たして、本当に藍染が予想したとおり『純粋だから』という精神論などで
解けてしまうものなのか?
・・・そこらへんにもまた伏線が隠れています。笑
今回、の過去が割れましたが、それも果たしてどうなるんでしょう・・・。笑
あ、最後のシーンでの庭の様子は、完全催眠が解けているを強調したものになっています。
今までいくら水遣りしても花は萎れていった―――それは催眠でそう見えていただけであって、本当は回復していました。
それも物凄い速さで再生しており、藍染はそのおかしな力に嫉妬していた・・・という事実があったりします。
うまく表現に組み込めない己の非力を嘆きます、もうもう。笑
*さて、藍実食みてシリーズが終わりまして、「初雪草編―回帰―」はここでおしまいです。で、これからはちょっと場面が変わります。
今までの流れは、藍染はという純粋の塊のような人間によって催眠『とか』を浄化され、は自覚して
おりませんが、白(=両親の命令の絶対性)を藍染によって浄化された、といったところです。
ここからは閉鎖的だった二人の世界に、他人という干渉が加わってきます。
また、今回藍染様が思った『激怒』は、後々何故そうなったか、何故そんなに反発を覚えたのかは出てくる予定です。
それにしてもポーカーフェイスで怒る描写って難しい。笑
そして―――次の節には浮竹隊長が出てきますいやっほううう!!笑
加えて、またオリジナルのキャラを二名ほど出します。・・・なんか本当に過去捏造は嫌なのですがね・・・。ですが、ちょっとこれが
ないと面白い展開になりそうになかったので苦肉の策で出します、はい。
年齢的には速水君よりかは大人な人ですね。またもや既婚。しかも今回は子持ちです。笑
*ではでは!
7:11 2010/04/02 日春 琴