第五十五話「哀しいほどに生きて」
怒りは、人間でなくとも万象動物が宿す最低感情である。生まれて間も無い幼子であっても不快や満たされない本能的欲求から
怒りに泣いてむずがって、満足を得ようとする。他の喜、楽も同様に備わっているものである。
故に人は人が優れた生命体と判断する理由に、喜怒哀楽の哀があるからだと主張する者もいる。
―――では、その中で喜怒哀楽の喜哀楽のみが存在し、怒が無い者はどういう判断を下されるのだろうか―――?
とっぷりと夜も暮れた夜半に藍染は寝台に横になりながら、思い出していた。
のあの時の表情を。いや正確には思い出すのではなく、ふつふつと自然と蘇ってきてしまうのだが。認めたくは無いが、それほどあの時の
表情は鮮烈なものになったのだろう。それは無論、いかにしても自分が出来なかったことを虚のような稚拙な生き物がいとも簡単に成し遂げて
しまったことによるのではあるのだろうがしかし、それ以外にも何か心を占めているいわば『こだわり』のような、しこりが取れなかった。
それからのは、実に協力的だった。今日も身体検査や実験に何の文句も言わずに協力をしてくれた。いやむしろ文句を言うどころか
ここはこうしたほうがいいのか、だとか実験で得られた情報をまとめるのを自ら進んで手伝ったり・・・庭の世話以外にここまで熱心になること
など今までなかったのに、それと同じくらいにやけに熱心だ。
(虚を・・・助けたい・・・か)
そんなことは夢幻だ。通常であれば決して届くことの無い空想にしか過ぎない。・・・通常であれば。だが―――彼女からの言葉を聞く限り、その
通常という言葉は通用しないのかもしれない。
に後日聞いた話なのだが、彼女はどうも力を分与した虚のその後が一瞬なりともわかるらしい。
以前何故かこの研究棟に侵入してきた諜報型改造虚を処分しかけた時があったが、あの時に創った破面がある男に無慈悲にも「堕ちた」故に
殺されてしまったという。心があの破面と完全に重なったにはわかった。彼は心の在りか―――確か、娘がどうだとか言っていたか―――
を見つけた時、敵対意識も何も無かったらしい。ただ幸福という幸福が心を、そして身体を満たしていた。それなのに、ある男は身勝手な理由で
彼を処断してしまったのだと。
それを知って、あの顔か―――。
(彼女は、は、あの時の感情の名が『怒り』であるということを知っているのだろうか。答えは出ない。
だがいずれにせよ少なくとも、その願いは・・・本心、か)
凡庸な魂魄であればそんな夢想は抱かない。何故ならば彼らにとってみれば虚は自らの命を脅かすだけの存在であってそれ以上でも
それ以下でもない。哀れと思う者はいようが、だがしかし彼らにはどうしようもない。故に、仕方ないのだと、そうまるで毎日酸素を犠牲にし
二酸化炭素を吐き呼吸するかのように、腹を満たす為に動物を殺めるように、生きる為には仕方ないと犠牲を生み出すかのように彼らの存在を
消してゆく。傲慢な死神はそれを善とするし、統学院や一般魂魄にあたかもそう教えているけれども、彼女は真っ向からそれに立ち向かうと
でも言うのか。そういうつもりなのだろうか。自覚をしているのだろうか。
(それを世界は、叛逆と定義するのか)
己の知性、力がどこまで上り詰められるものなのか。この世界を創造し治める王族を屠りそれを確かめたい。その欲求で動く自分がこの世界に
たてついているということを意識しないことはなかったけれども、藍染にとってはそれは空気のようにごく自然な考えではあった。それが結果的に
この世界に反しているという結果になっているだけだ。もっとも、こんなことを言ってはそれこそ世界から罵られるということも知っている。
(・・・・・・・・・・・・)
離れた寝台で静に寝息をたてて眠るの顔を見やる。無防備に眠るその顔は実験を受けてやはり疲れきっているのだろうか、長い睫毛がまるで
目の下にくまを作っているように見えて、そのせいか少しやつれているようにも見えた。そんなにも必死になって、虚を救いたいというのか。
それがもしかしたら、正義とは反対方向へと転落してゆく道かもしれないのに。それを知っているのか。それとも無知のまま、無邪気のまま、
無垢のまま、ただそう在りたいと望むのだろうか。
そうであるならば、いやそうでなくとも、せめて核心だけは。
「お前と私は―――・・・」
・・・似ているのかも知れない。
以前はそう思っただけでこんな下等種族と一緒にされてたまるものかと烈火の如く怒りが沸いてきたものだが、不思議と今は
嫌な気はしなかった。
いわばこれは共感、共鳴、そして互いに生きるが故に響かざるを得ない倍音。
望むことが悪と称されるだけの、たったそれだけの、不器用な存在証明の方法。
窓から涼しい夏風が入ってきての背中を包む。夢に深く落ちているはもごもごと寝言を呟きながら、寝返りを打って背を
向けてしまった。
其れを期に、藍染も瞼を下ろすのだった。
【流星之軌跡:第五十五話「哀しいほどに生きて」】
最近、は良くおかしな夢に悩まされていた。
最近、というのはそうあの破面を創った頃からだったか・・・とにかく、声が聞こえてくるのだ。
それも一つではなく何個もの。それらは違うことなく苦しみに満ちた苦悶の声で、眠る意識のなかで助けを求めているかのようだった。
今日も、声にならない叫び声が真っ白な空間のなかで響いてくる。恐ろしく哀しい声でもあって、その声に夢のなかでのの身体は
固まるしかなかった。
だが今日はいつも聞こえてくるものとはまた違っていた。今日はその声がどんどんと迫ってきているのだ。のなかにふと野萵苣宮
が倒壊した時が思い起こされる。初めて命の危険を覚えたあの底冷えするような感覚に、叫びを上げたくても声にならない。喉を
押さえながら声を張り上げようとしても、どうしても声は出ない。助けてくれ助けてくれとあの男の名を呼ぶけれども、その言葉を
述べようとしても空気ばかりが虚しく出るだけで声帯は震えない。
おどろおどろしい音がずるずると迫ってきて、脊椎を舐めるかのような恐怖は身体の隅々まで満杯になる―――。
「っぁああああッ!!」
錯乱しながら飛び起きて、そのまま薄い掛け布団を握り締めて這い上がってきた恐怖をやり過ごした。まだ耳底にはあの地獄から
聞こえてくるような底なし闇を帯びた叫び声が響いていて、どうしようもなく震えさせた。
やがて聞きなれたあの男の声がしてきて、ようやく自分はあの悪夢から逃れたのだと知る。すると段々息も落ち着いてきて、呼吸が
まともになってくる。
未だ落ち着かない心臓の鼓動が全身の血管を圧迫しているのが自分でも解った。
「朝から随分と行儀の良い目覚めだね。 ・・・・・・何が・・・あった? いや――― 何を『視た』?」
相変わらず自分の体調など気にかけてもいない藍染は皮肉りながらそう勘ぐるかのように聞いてきた。自分は藍染の道具で、彼の実験
協力者であると理解しているはそんな彼の様子にさして気を悪くすることもなく、先刻の夢を口にしようとしたが咄嗟に
それを止める。
何かを言いかけて再び表情を硬くしてしまったの様子を見て、藍染はその様子を静観するしかなかった。
「ちっ、違う・・・まだ、だ・・・ッ!」
がたがたと唇が震えて止まらない。そう、あの夢での声が今でも確かに心に直接響いてくるのだ―――。
もしかしたらここはまだ夢なのではないかと錯覚してしまうがあの夢独特の浮遊感や非整合性、そして無声という現象がないことから
これは間違うことなく現実なのだと知る。
嫌な油汗がふつふつとにじみ出てきて、じっとしていられない。声を聞くたびに心が鷲掴みにされて、握り締められているかのようだ。
「ッ!」
呼びかける声を無視して寝台を最早転げるようにして抜け出して、筋肉の弱った足を引きずりながら扉を開け放つ。そしてそのまま
とにかくこの声が一層強くなる場所を探すように歩き回った。少し遅れて見かねた藍染が草を掻き分けながら追ってくる音がしてきたが
それを再び無視して、とにかくこの恐怖の原因を無我夢中で探し回った。
そしてそれは程なくして見つかる。
いつも庭の世話をするために訪れる水場のその奥―――高い研究棟の丁度影になっていて、じめじめと寂れているその場所―――そこには、
小さな倉庫のような、納屋のような、貯蔵庫のような施設があった。いつもそこは何の用もなかったので立ち入らなかったが、間違いなく
ここからあの声はしている。漸く追いついてきた藍染の無表情を見る限り彼はこの声そのものが聞こえていないのだろう。思えば初めて破面を
創った時も彼は虚の叫びが聞こえてなかった。だとするならば、『彼ら』がここでどのような思いをして、今訴えているのかも恐らく
わかっていない。
「惣右介・・・お前、ここで何をしている・・・!?」
抑えていなければ震えが止まらない両腕を抱えながら、藍染を睨み上げる。
彼はまたじっとの顔を見つめてなにか少し驚いた表情をしていたがすぐに興味を失ったような顔をして、そしての言葉に答えることなく
目の前を通り過ぎる。
一体何をするんだ。注視していると、彼は徐にその施設の扉に手をかざした。
「・・・解錠」
なんのこともなく、なんの感慨も抑揚もなくそう呟けば、盛大な音を立てて透明な何かが弾けた。続いて、ギイイと重々しく扉が開く。
何がおこるのだろうとそのまま突っ立っていると、もう用は済んだのだろう。藍染はこちらを向き直ってを見やった。その視線はなんとも
静に挑発的で、まるで知りたいのだろう?と誘っているかのようだ。
「・・・・・・・・・っ」
恐怖にやはり足は竦むけれども、ここで負けていては自分のことを、自分の能力を理解できない。
今、自分の能力を知ることは即ち虚たちを救うことに直結するのだから。そのための如何なる困難であろうと苦しみであろうとそれを
耐えてみせると決心したのは間違えなく自分だ。こんなところで恐いからといって尻込みしている場合ではない。
ゆっくりと、一歩一歩確かめるかのようにしてその施設に入ってゆく。
そして中に入ってすぐ、驚愕のあまりに声を失った。
「ここは改造虚創成施設及び実験場だよ」
入ってすぐ、まるでそそり立つ丘にある墓地かのように段々になって、巨大な試験管の保管液のようなものに浸ってもがき苦しむ虚たちが
そこにはいた。
通常肺呼吸をしている虚たちにとっては液体の中で酸素を得ることは出来ないはずだが、無数の針をまるで海栗のように生やされてここにいる
者達はその問題点を克服しているようだ。人型の虚であってもそこから出る必要はなさそうだが、代わりになのだろうか、肌の色は土色で
苦悶に耐え切れないといわんばかりに顔は歪んでいた。
ろくに照明もない薄暗いその部屋で、保管液が放つ怪しい緑色の光が二人を照らす。中は保存のためだろうか、夏真っ盛りだというのにも
関わらず底冷えした空気がどんよりと充満していた。
「私の文献を読んだのだろう? なら、知っている筈だがね」
そう―――確かに、彼の実験書やその後まとめた文書を読んで確かに彼が改造虚の研究をしていることは知っていた。だがそれはこんな形で行われ
ているとは知らなかった。もっと、そう、自分に対してしているような『やさしい』実験だと思っていたのだ。それなのにここにあるのは何だ。
とても見るに耐えられない実態だらけではないか。ある虚は脳と脊椎だけむき出しにされており、そこには何十本もの管が突き刺さっている。
しかし彼は死ぬことは愚か五感を絶つことも許されていないようで、何度も意識を失いそうになっては激烈な痛みにびくんびくんと保管液を揺ら
している。苦痛の表情を浮かべようにももう顔の筋肉も疲れきっているのか般若のような顔をしてそのまま固まっている。爪などは苦しみのあまり
保管硝子を引っかきすぎてべろんと剥けていた。そのほかにも同じような虚がそこには沢山保管され、無慈悲に実験情報を搾取されていた。
しかし意外にも藍染はここが実験場であるということ以上は何も言わなかった。普段の雄弁な彼のことだから何故このような実験をするのだとか、
彼は何をするためにこのような器具に繋がれているのかだとか、理論がどうこうだから得られる期待値がどのような質であるものだとか・・・
そういう説明が始まるところなのだが、何故か今日は無言だった。
ただ、
「今此処にいる個体は全て、ある魂魄を喰らって宿主情報を排出・出力する改造虚を創成するためのものだ。 いわば以前君が破面化した諜報型虚の
発展系だよ。
・・・だが、結局それは不可能だった。 恐らく魂魄を入れている肉体、いわば魂の器そのものの強度が出力に耐えられないんだ。
つまりこの世界での万象摂理では、限界を突破することは禁止されている」
そう、高揚することも、誇張して言うこともなく、ただ平坦な声音で呟くだけで。確かに、彼らを見ても仮面がやっと中途半端に剥がされている
だけで、完全に取り払うことは到底不可能なのだろうと思う。
だからももう何も言えなくなってしまって。ここでもしそのような演説が始まるものならすぐにでも怒鳴り散らしていたところだったが、藍染
はそう言ったきり、実験体が保管されている巨大な試験管をなにか思惑ありげに眺めているばかりだ。
・・・・・・あたりは静かだ。そのままはそこかしこから聞こえて重なる、不協和音となっている声を聞き取る。
苦しい、苦しい、早く楽にしてくれ、一刻も早く、もう消えても構わないから、だからどうか助けてくれ―――そう訴えかけてくるかのようだ。
がそのまま試験管の山々に近づくとすがるかのように、一体も違うことなく皆一様に―――試験管に張り付いてに突き刺さる視線を送る。
必死の形相で硝子を擦る指が、四方八方でキュウキュウ音を立てている。
黒くて深くて硬くて重い、無限の思念。
疾悪、瞋恚、苦悶、痛楚、痛哭、悲歎、ありとあらゆる負の感情が流れ込んでくる―――。
「すまない・・・」
はこんなに哀しいほどの思いを『怖い』などと・・・『怖い』などという『言葉』に縛り付けてしまって、申し訳ないと思った。
そして同時に、悟った。
・・・・・・彼らの心は、救えない。
心の在りかを求めることよりも、いや正確には心の在りかが死ぬことになってしまっている虚たちに自分が出来ることなど何もないのだ。
せめて出来ることといえば―――。
「惣右介」
「・・・想像はつくよ」
「ならば早く・・・一刻も早く・・・・・・彼らを、楽にしてやってくれ。 そして―――金輪際、改造虚の研究を止めろ。
その代わりに私の力を解析しても構わないから・・・。 だから一刻も早く・・・お願いだ・・・」
藍染は再び、無言だった。返答が気になるところではあったが、わざわざ聞く必要はなかった。
そのまま彼は墓場の奥まで進むと、その奥にある何かを取り出してくる。―――恐らく、それはここの起爆剤か何かなのだろう。それが無理な
要求を通そうとする自分への粛清の道具かとも想像したけれど、きっと彼はそんな面倒なことはしない。今まで彼と生活を共にしてきたには
そういう確信があった。それに、もし彼が自分の存在を消そうと思ったのならば先程演説をしなかったことは矛盾する気がしたからだ。
彼らに凄惨な仕打ちをしたのは藍染のはずなのに、それなのに彼のその行動に感謝すらしてしまうかのようだ。
藍染は何故素直にの要求に応じたのか。無論の研究をした結果を利用するほうが有意義に思えることも起因するのではあろうが、きっと
それだけではないと―――この時は思っていた。それは最早願いなのかもしれないけれども、甘い期待を許容してくれるであろうという
不確かな確信があったのだ。
「、此方へ」
言われるままは藍染の後ろまでやってくる。そして項垂れる様子を見届けてから藍染は掌にある球体の物体を握りつぶす。
すると、瞬く間に轟音を立てて次々と墓場を支えていた床が抜けてゆく。無論その上に設置されていた試験管と、試験管から情報を採取、
解析する装置まで一緒に奈落へと落ちてゆく。
そうして劈くような音から逃げることもなく固まっていると、目の前には何もなくなった。埃臭く、目の前が煙で翳むなか先程まで試験管の
山があったところに出来た巨大な穴を覗けば、暗くて良くわからないがぐつぐつと音を立てている液体に試験管は砕けて飲み込まれているようだ。
「彼らは廃棄物処理消化液で急激に融解・分解されてゆく。 これから三十時間後までに完全に消えてなくなるよ」
気が済んだか?
そうあざ笑うかのように言って、の横を通り過ぎて藍染は実験場を出て行った。
「・・・・・・」
さまざまな感情が入り乱れている。しかし耳を澄ませばあの叫びは随分と柔和なものへと変わっていた。苦しいし、痛いし、悲しいけれど、
それでもこの苦痛はこれでああ、最後だ―――地獄の奈落はそう言っているようだった。
もう一度覗き込んで、どうしようもなく無力な自分をどうか許して欲しいと呟いて、はその場を後にした。
『本当の意味で』静かになった実験場はこうして改造虚廃棄処分場と化した。
暗黒立ち込める地下深くではぶすぶすと煙を上げながら虚が魂魄、霊子段階で分解されてゆく。
そこに落とされた虚たちは皆、苦悶の表情に筋を歪ませていたけれども、皆違うことなく涙を流していた。
だがその虚の体躯が投げ込まれてどろどろに絡み合っているなかで、不気味にうごめく者がいた。それは周囲で分解されてゆく同類に
唾を吐きかけながら、彼らを押しのけ押しのけ、どんどん上へと上り詰めてゆく。
やがてそれは廃棄物の頂点にまでに達して、顎が外れた虚の口に遠慮なく足をかける。ベキリと骨が折れる鈍い音が、足の裏に伝わった。
「―――――――――」
だがそんなことは彼にとって何の意味も成さない。仲間を踏み台にして立ち上がり、続けて穴の上―――地上を見上げた。ぎょろりと
巨大な眼が先程まで藍染がいた場所を捉えると、半融解していた仮面はバキンと音を立てて瞬く間に剥がれ落ちた。
「・・・・・・・・・!」
そして、ぐぐっと身を縮めて、足が消化液に飲み込まれる前に大きく跳躍するのだった。
続
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*第五十五話でした。ちょっと短かったですかね。いやでも前々から「文字数減らして更新速度上げる!」だとか言っていた
のにもかかわらず全然減る予兆もなく、むしろ増えてゆくばかりだったので今回は個人的にはまぁまぁ上手くいったのかな
なんて思っております。←長!
*さて、始まっております「初雪草―あいいろ―」篇。この節は初雪草篇の起承転結の「転」にむけての大切な節なので
気合入れて書いています。い、いやいつも気合入れてますけれども!
あいいろ―――これはいろんな意味があてられますね。
以前断罪篇でもやったと思うのですが、今回の「あい」はその時の繰り返しになっております。これからの存在が一体
何者なのかが判明してきますが(もうお気付きの方がほとんどだとは思いますが。笑)この過去篇が今にも繋がっているんだよ
という感じを混ぜていけたらと思ってわざと繰り返し使用しました。
「あい」とは・・・相、藍、愛、哀、挨、藹、I、eye・・・の意味をかけております。
相対性、有色、愛情、哀れみ、星の材料、平穏、自我、世界観・・・様々な「あい」が生まれる。そんな意味をこめてみました。
ちなみにボツとなったサブタイは「星辰揺籃」篇でした。この連載の題名「流星之軌跡」の意味に被せるように星という言葉を
入れたいということからはじまりました。が、一体何が星なのか、そして揺籃って響きは良いけど「生まれるよ」っていう
いわば外に出る言葉のイメージがなかったのでボツにしました。むしろなんか眠っちゃいそう。笑
それに生まれるのは星だけでもないため。まあここらへんの深い意味は追々ということにしましょう。
*さて、ようやくに「怒り」や「哀しみ」の感情が備わってきました。無垢であり続けていたは喜怒哀楽の最後に
それらの感情を覚えました。これは間違えなく伏線、というかわざとなのですが、何への伏線になっているのでしょうか。
予想してみるのもまた一興・・・かもしれません。笑
そして藍染さんの態度もこれまた・・・!?だ、段々幸せに向かって行っている兆候なのやもしれません。
やさしい藍染さんってなかなか台詞が思いつかないのですが・・・。ドSド鬼畜ド外道な藍染様のお言葉なら簡単に思いつくの
ですがねぇ。←
*様々な「あい」が生まれ、おのおの染められてゆく藍染、浮竹、そして。その果てに、幸福は一体あるのでしょうか。
御応援いただけると嬉しいです。
あ、でもこれからはきっと幸せが続くと思います!!甘いお話を待ちに待ってた!という読者様、シリアス書きな私のことですから
私が甘いお話だなぁと思って書いていても、ちょっと不満足になってしまうかもしれませんが、それでも!
今までの暗くシリアスな話から段々と幸せ傾向に走って行きますので、ご安心ください。
そしてお待たせしました・・・!
*浮竹隊長以外では初めてのやさしいお話。未経験故に緊張しますが、頑張りたいと思います。
ではまた次回の更新にお会いしましょう!
7:53 2010/11/19 日春 琴