第七話「臨界∞消失奏」
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「そうして噤めば良い。……どうせお前は言う──『助けて』と。
 快楽は理性を上回る。お前の思い通りになどいかないんだ───




またあの恐ろしい宴が始まる。



全身を駆け巡る快感と、押し寄せる嗚咽感、理性を失い甲高い嬌声を上げる───
卑しい卑しい自分が、さらけ出る。



恐ろしい、恐ろしい、宴が────行われる度何かを失わずにはいられない、あの汚らわしい宴が────。




「脚を開け、










始まる。










※※※※※※


「───う、ぅ……っ」


ドクン、という振動がの子宮近辺に伝わって、ようやく圧迫感がなくなった。


そのまま藍染はの快楽に泣き腫らした顔を愉しそうに見つめるとずるり、とそれを抜く───
どうせなら、あの妙な高まりを終えない内に解放してくれれば良いのに、彼は決してそれを許さなかった。



必ず、が絶頂を迎えるまで攻め立てる。
それも、が『欲しがる』まで。
男女のまぐわいに関して無知な彼女だが、本能は知っているだろう。その藍染の考えは見事に当たった。


いつも彼女は言う──『お願い』と。
その言葉も藍染にとって一種の快感だったが、それ以上に悔しさに塗れた泣き顔で請われるのが好きだった。
それは彼女が気丈な性格であることに起因するのだろう。


そして、己の背に爪を立てて快感に耐える彼女の顔も好きだった。


もその瞬間薄ぼらけに自覚して涙を見せるのだ。
まさに、藍染がいないと何もかも出来ないのだという事実を。



だからこそ───この行為には意味があるのだ。



藍染はそう思う。




────が誰のものかを自覚し、藍染自身が手懐ける為に必要不可欠な麻薬だと。



「っ………ふ……」



あられもない姿で精液を太股から垂れ流しながら、は泣く。
それは白濁とした液体と共に流れ落ちる抗いの己が血がそうさせたのか、それとも……。


いや、確実に他方の方であろう。


彼女は攻め立てられた時───言ってしまったのだ。


「助けて」


と。
彼女の「助けて」は藍染にとってみれば彼への屈伏以外他ならない。
良く言えた、そう満足げに目を細めて──彼女の身体を貫いたのだった。


「───食べなさい」
「………うっ、う…」


褒美だと言うように藍染は薬をに差し出す。
食事──といっても、彼は糖を凝縮させた栄養剤しか投与しなかった。

普通糖といえど、他にろくな栄養素も配合していないそれで生きるのは
相当な精神力がなければ不可能だ。


しかしだからこそ───藍染はこれでを試したのだ。



「水も与えるよ。今日は良く鳴いたからね。──だから、食べなさい」


これだけでもし、これから先、生きていられたら───間違えなくは藍染の手に落ちる。
彼女の強固な倫理と道徳、そして精神を崩すにはこの方法と体力と精神を摩耗する
性的虐待を繰り返すしかなかった。


「……………泣いているのか」


藍染は一旦彼女の足下に薬剤を置くと、衣服の乱れを正す。
それからの身体を綺麗にしてやろうとした時──快感から以外の涙に彼女が塗れている事に気がついた。


「……私は……っ…情けない……」
「だろうな」
「考えたいことは……沢山あるの。なのに───もう、
 頭が一杯で……わからないんです───……」


しゃくり上げながらそう呟く彼女の顎を今度は優しく上げて───藍染は優しく囁いた。


「私のものになれば良い」
「………っ」
「私は全てを掴む。…私の元に来れば───この世の真理を掴めるさ」
「……し、んり……」



───純粋とは、時にたやすい。


藍染はほくそ笑みそして───薬剤を口に含み、いくらか安堵したかのような
の口にそれを流し込む。

麻薬に翻弄された純粋な幼子は───回路が崩壊したかのように、それを快諾して涙を見せた───。



「──良い子だ」
「………」
「良い子なら、これを一日──僕が帰ってくるまで咥えてなさい」


『何を───』そう言おうとした側から、藍染の指が秘部に差し込まれ──再度押し寄せた快感に
声を漏らした、その間に──ソレは蠢いた。


「んぁあっ」
「良い反応だ」


そのままツ…との愛液が垂れたのを掬い、藍染は口に含む。
そして微笑みを漏らし──牢を後にした。


「簡単な振動機だ。まだ僅かばかりの愚かな倫理が残っているらしいからな。
 また私が帰って来る時までにそれを無くさなくては──……」
「っな、ぁっ……ンぁあっ…い、やぁ…はぁっ」
「次に私が帰って来る時にまでは──考えられなくなるよ。
 私のこと以外は……微塵も」


ギィィ、と戸が開く。


「お前が私の事以外考えられなくなるまで───苦しみは続くと思え。あと」


「……はぁ、ぁ───」


「私がお前を必ずしも利用したがっていると言う訳ではないということを覚えておけ。
 お前など、私にとってはどうでも良いんだ」


───快感にぼやける頭に、藍染の言葉が突き刺さる。
しかし抵抗しようと力を入れれば──振動機に襞が擦り着けられて言葉を殺した。


そのまま何も言えぬまま───彼は去る。


「私にとって重要なのは、私の研究が成功していたというその事実だけで、
 お前は所詮朽木ルキアや崩玉の失敗作。死んだって───誰も悲しみはしないんだ」


───なら、どうして生かさず殺さずを繰り返す───?


「楽しみだな。───?」



は苦しみながらそう問うが、それは藍染が牢を閉鎖した後だった────。




藍染に無理やり残酷に抱かれることと、この振動機による体力の急激な消耗───


は先ほど藍染に与えられた薬の味を噛み締めながら、自分が自分の中からだんだんと消えてゆくのを確かに感じた。


同時に───不甲斐なさと自責の念そして───
藍染の指先を頭の中で反芻させて、闇に身を委ねたのだった───。













わからない



わからない


今まで優しく育ててきてくれたのは浮竹で。


でもその愛情は偽りで。


本当は記憶を操作されて、利用されていただけで。


藍染は憎いが、どこか安らぎで。


本当の自分であるから自分を知っているのは藍染だけで。


悔しいが、今までこの世で自分が生きてこられたのは藍染のお陰で。


でも自分をさらったのは藍染で。


それを拾ってくれたのは浮竹で。


今まで優しく育ててきてくれたのは浮竹で。


でもその愛情は偽りで。


本当は記憶を操作されて、利用されていただけで。


藍染は憎いが、どこか安らぎで。


本当の自分であるから自分を知っているのは藍染だけで。


悔しいが、今までこの世で自分が生きてこられたのは藍染のお陰で。


でも自分をさらったのは藍染で。


それを拾ってくれたのは浮竹で。


育ててきてくれたのは浮竹で。


でもその愛情は偽りで───────………。





ワカラナイ




ワカラナイ事が 多過ぎて────




どんなに啼き叫んでも。

どんなに御願いしても。

どんなに頭を殴られても。

どんなに腹を蹴られても。

どんなに甘苦な御悪戯(オイタ)をこの躯に打たれても。



解(こたえ)など見つからなかった。
代りに見つかるのは、生まれ来る本能の愛情。



穢れた、己が醜態。



果てのない、闇と愛憎。





それだけ、だった。














涙さえ枯れた。






私は





私は────………









 一体、何処へ?















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狂い方加減がまだ初期段階のようで(笑)

あまり解説するのはなんだか現代文のようで好きではない(人は人それぞれなので、物語にこれといった
答えは用意したくない)のですが。。。一応、これだけはベーシックなので。


は何よりも時代より、自分がいられる場所、というものに渇望してます。
まー、簡単に言ってしまえば「愛情」に飢えてるんですね。


時代にあんなつらい状況に直面していて、重度の対人恐怖症になってしまった彼女は、
「自分のいていい場所」が欲しいんです。



これは、私自身が

「人間は誰しも誰かに存在を認識されて始めて自分を確立し、安楽が得られるものではないか。
そしてその結果人間は永遠に個々であるが故に、他人との繋がりを保ちたいのではないか」

という持論をこの連載を通して伝えたいこと(??)として持っているからです。


毎回私の書く物語は私の持論と持論の実験なんですよねー。
そして大抵が答えが出ない。
まぁ、答えなんて求められないものだからこそ、実験する価値があると私は思うんですけどね^^;
勿論、皆様に伝えたいことって沢山あるんですけどw


はぁぁ、この精神面の実験シーンは、自分的にも執筆してて辛いな・・・w
体調崩しまくりですよ。どMですかっていうw


それでは